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えむえしどす/H店ごん

H店ごんです。
いい機会なので、前から書いていたMS-DOS講座の雑誌連載分最終回を転記したいと思います。1984年のことです。だから文中の話題は少し古いですが。
「パソハラ」という言葉は、実は僕が作り出した言葉だったのですねぇ。我ながらびっくり。

 ●今だ、今しかない

 中学の頃に録音したミュージックテープを聞き返してみた。そのころ出だした貸しレコード屋でかりたLPの中で、その時に好きになった曲だけをテープに録音していたけれど、その時はそれで満足していた。なにしろ好きな「感じ」の曲ばかりが入っているのだから、なにも思わずに口ずさんでいた。しかし、歳を重ねた今、その間の曲も聞きたいと思うようになった。アルバムとして順番に曲が並んでいるのに、その頃の自分はその中の好きなところだけをつまみ食いしていたのだ。子供の頃を思い出すのにはいいけれど、今はそれより「流れ」の方が気になって、レコード店でたまたま見つけたCDで買い直す。1曲目から起承転..と転がっていく。そのアーティストが表現したかったものを構成するのに、一つとして不必要なものはない。
 MS-DOSのコマンドも、おぼえたての時はDIR、COPY、FORMATなど簡単な物しか使わないが、しだいにPATHとかSHELL、SETやCHKDSKなどのちょっとややこしいものまで使うようになる。必ず覚えなくてはいけないという物でもないが、知っていればより便利になるものが多い。
 パソコンを使う=DOSコマンドを覚えるという時代から、アイコン指示すれば使用できる、と鳴り物入りのWindwsへの変遷。いろんな雑誌なんかで「便利だ便利だ」ともてはやされて、いままでパソコンを使うことに億劫だった人も「使えるかも知れない」とどんどん流れ込んで来た(いいことだけどね)。
 しかしWindows時代になって、逆に環境を使うために、更に頭を使わなくてはいけなくなったということに、一体どれほどの人が気づいているだろうか。
 例えばWindowsのプログラムマネージャにアイコンを登録すること、これ一つ取ってみても、まずプログラムマネージャのアイコン(F)、登録とグループの作成(N)、アイコンの登録を選ぶと、ダイアログボックスが開く。ここで素人ならもうお手上げだ。¥が、「えん」ではなくて「ルート」であることを知っていなければ登録さえ出来ない。また、アイコンはそのファイルの実体ではないから、削除にはファイルマネージャをも必要とする。果たして、ファイル自体の移動やメンテナンスをするためにこれまたDOSの知識が要るだけでなく、さらに高度な環境をも操作の範疇に置いておかなければ使いこなすなんて夢のまた夢である。今回は最終回ということで、DOSを含むこれからの“あなたの”パソコン環境を検証してみよう。

 ●「考える道具」を考えてみる

 マイコンがパソコンと呼ばれるようになり、ただのビデオゲーム機から脱皮して中小企業のブレインとして活躍するに至った今でも、
 パソコンは難しい
 パソコンは高価だ
 パソコンを操る者はオタクだ
 その他、自分はパソコンを触らない
などという暗黙の了解があるようである。OAアレルギーなどという可愛いものではない。パソコン・ハラスメントといでもいうべき状況に近いところもあると聞く。自分の派閥に入らない中年中間管理職を上司がパソコンで仕事をするように強要する。あげく、そのあわれな中間管理職はトイレで「部長、それはパソハラです・・・」と言いながら泣き崩れるのである。これを逆手にとって、セクハラなら中年社員から女の子への嫌がらせであるが、パソハラで女の子から中年への仕返しさえ出来てしまう。
 しかし、物は考えようである。
 誰も恐れて使わないけれど、もし自分のものになったなら素晴らしい威力が発揮されるものなら、手に入れてみたいとは思わないだろうか。僕ならそう思う。誰もまだ知らないから武器になるのである。
 そう、今だ、今しかない。包丁は切れてアブナイから便利なのだ。物事のマイナスの面ばかり見てプラスを考えないなどは子供の発想である。
 しかし、これもみんなが持ってしまっては何にもならないことにもまた先見の明のある方なら気が付かれたことであろう。
 正義の味方は銀の銃とばかりにアメリカではピストルを携帯する人が多い。「銃があるから安全なのだ」というかも知れないが、逆である。自分だけ持っていないと不安だから持つのだ。他人にだけ持たれてはたまったもんじゃない。いずれパソコンもそういう日が来る。誰もが使えて、当り前の時代が必ず来る。皆さんの予想よりはるかに早く来ると思う。その時によっこらせと腰をあげていては間に合わない。その頃には情報の弾をくらって撃ち殺されているだろう。
 そう、今だ。今しかない。日本人は車を大事に大事に磨く。大切にする。アメリカ人は下駄がわりに使う。どちらが優れた使い方だろうか。これは値段にもよると思うが、まだまだ日本人はパソコンをおっかなびっくり使っているように思う。もっと下駄にして、もっと鉛筆にしていいと思う。

 ●Macintoshの夢

 DOSが、BASICが難しいと言われていた頃、MACと呼ばれるとてもセクシーなマシンが登場した。DOSに挫折した人のいくらかはその世界に行き、安住の地を得た。一般道路のDOSに比べ、Macはスマートな高速道路にも思える程だった。いや、マニュアルミッションの車とオートマチックの車くらいの差はある。そのあまりの差に俗にMac教とも言われる熱狂的な信者を生み出した。天下のICMがMacにも乗り出す理由は充分である。これで自分のしたいことが何も考えずに出来る。みんなパソコン(Mac)が面倒をみてくれるからとても楽。このままで行くと、いずれ全てのパソコンがMacにリプレースされてしまうかも知れない・・・
 いやいや、そんなことはないのだ。快適なAT車があるかと思えば、エンジン性能ぎりぎりを引き出すためのF-1車はマニュアルに限るように、やはり使いやすさよりもCPU性能を重視する分野もまだまだある。従ってこれから先、決してDOSはなくならない。いやむしろ、ビジネスの分野ではこれからずっとDOSでなければだめであろうことは想像に難くない。そんなに簡単にリプレースできないことは、QWERTY式のタイプライターが未だに標準であることが何よりの証拠である。メソッドの変更はそう簡単にできることではない。
 誤解の無いように書き加えておくと、やはりMacも必要ではある。しかし、それは分野を違えてDOSと共存するもので、Macでしか出来ない、もしくはMacのほうが得意である分野での使用である。例えば写真のレタッチなどはいくらWindowsが優れていようが、今までプロが使ってきた、というメソッドはいかんともしがたい。やはり、その業界、その世界ではMacが使われて行くのである。MacはMacらしく。なにもWindowsやDOSの真似をする必要はない。

 ●守って欲しいこと

 さて、DOSには覚えると便利なコマンドが一杯ある。ビデオゲーム好きな少年なら目を輝かせそうな「裏技」も多い。だから最初のうちはMS-DOSのマニュアル(書店で市販されているものでも可)を横に置いて作業するといい。分からなければ、辞書のようにすぐ引くのだ。これでいいのかな?式の操作は、必ず痛い目に合う。ややこしくてもきちんと理解してから実行に移す。これは鉄則である。それと、オリジナルは必ずバックアップを取ってから使う。これも鉄則である。パソコンの世界では、一歩先はなにがあるか分からないのである。それに備えるのが正しい使い方だ。断っておくが、個人的なバックアップと違法コピーは違うものである。コピーして友達や仲間に配るなんてのはもってのほか。最初はそれで得した気になっていても、そんなことを続けると、ソフト業界自体が尻つぼみになってしまい、いいソフトが出なくなる、ソフト1本の値段がどんどん高くなるなどの弊害が出る。結局自分が損をする。それだけならいいが、パソコンを使う人みんなに迷惑が掛かるから、絶体やめて欲しい。これは煙草と同じように、マナーの範疇である。
 もう一つ。分からなかったら誰かに教えてもらったらいいとかいう甘えは捨てること。DOSをマスターした人は多分相当な努力をしたはずである。その苦労を後目に、ひょいひょい美味しいところだけを持って行くのでは、あまりにも理不尽すぎでは無いだろうか。自分で苦労しなければ、そういう知識は身に付かないものである。バックアップの大切さも、自分の大事なデータを一瞬にして消してしまう経験がなければ身に付かない。すなわち、全部自分でしよう、があたりまえなのだ。

 ●Over the Windows
 ~DOSの魔法使い~

 それでは、ここで簡単におさらいをしてみよう。ハードディスクを買って帰って、まず最初にしなくてはならないのはDOSでのフォーマット(初期化、領域確保)である。フロッピーから立ち上げて、

FORMAT /H

とすると出てくるメニューの中で作業をする。
 次にDOSのインストール。慣例として、¥DOSというディレクトリにDOSファイルを入れることが多い。
 それからCONFIG.SYSの構築。HIMEM.SYSとEMM386.EXE(DOS5の場合)は特殊な場合を除き、必ず必要である。

DEVICE=\DOS\HIMEM.SYS
DEVICE=A:\DOS\EMM386.EXE /UMB /P=64
SHELL=A:\COMMAND.COM A:\ /P

その上で組み込むデバイスを取捨選択していく。プリンタは必要か、RS-232Cドライバはいるか、マウスは使うか。日本語変換のプログラムをどうするか。最近ではサウンドブラスターのボード用のドライバや拡張ビデオボードなどのデバイスも考えなくてはいけない。

DEVICE=A:\DOS\RSDRV.SYS
DEVICE=A:\DOS\PRINT.SYS
DEVICE=A:\DOS\MOUSE.SYS

 最後にAUTOEXEC.BATの作成。これは自分のパソコンの上で使う状況に応じて環境を構築した上で自動実行させる手順書である。これも最近はCD-ROM用の常駐デバイスなども組み込まなくてはならない....

PATH A:\WIN31;A:\DOS\;A:\TOOL;A:\FD;A:\EO30;A:\
SET TEMP=A:\WIN31\TEMP
SET EOS=A:\EO30
WIN

 最近のDOSには自動インストールバッチファイルがついているのが普通になってきた。だから上記のハードディスクの導入なんかもわりと簡単にできるようになった。しかし、やることは一杯ある。もちろん素人さんにはややこしいことだらけだ。一文字打ち間違えただけでもう動いてくれない。パソコンとはそういうものだと割り切らなければ使えない。いや、使えても使いこなせない。
 しかし!なんの園まり 天地真理!(韻を踏んで読むこと)Windowsが主流になれば、そんなこんなでややこしい思いをしなくてもいいんだいと思われる方、あまい!あなたはと~ってもあみゃい!
 次期Windows、Chicagoでは、今のWindowsを更に使いやすくしているようだ。今から楽しみである。OS上の細かい変更もあり、よりユーザーフレンドリー(死語)なインターフェイスになる。表面上、DOSは陰に隠れて難しいことは無いようにも感じる。しかし!しかしである。やはりおおもとはDOSの陰が色濃く、「タスク」とか「コマンドプロセッサ」とか「PATH」などはあくまでDOSの延長上にある概念である。
 つまり!Windowsも所詮厚化粧をしたDOSに他ならないのだ。願わくばその化粧に惑わされて、本質を見失わないようにしたいものである。
 例として、今の僕のHDDのCONFIG.SYSとAUTOEXEC.BATを挙げておく。

CONFIG.SYS

DEVICE=A:\MDEV\IOSPRO\VMM386.EXE /I /U
DEVICE=A:\MDEV\IOSPRO\DC10.EXE 640 A: B:
FILES=40
BUFFERS=10
SHELL=A:\COMMAND.COM A:\ /P
DOS=HIGH,UMB
DEVICEHIGH=A:\SB16\DRV\SBCD.SYS /D:MSCD001 /P:D2 /S:A
DEVICEHIGH=A:\SB16\DRV\CTSB16J.SYS /UNIT=0 /BLASTER=A:D2 I:5 D:3
DEVICEHIGH=A:\SB16\DRV\CTMMSYS.SYS
LASTDRIVE=I

AUTOEXEC.BAT

REM A:\MDEV\IOSPRO\DPMI32.EXE
PATH A:\WIN31;A:\DOS\;A:\TOOL;A:\FD;A:\EO30;A:\ALDUS;B:\PM4J;A:\
SET TEMP=A:\WIN31\TEMP
A:\TOOL\SHIFTKEY 1
IF ERRORLEVEL 1 GOTO SKIP1
cd \bpro
bprovt
bprotsr
cd \
:SKIP1
SET BLASTER=AD2 I5 D3
SET SOUND=A:\SB16
SET MIDI=SYNTH:1 MAP:E
A:\SB16\SB16SET
A:\SB16\DRV\MSCDEX /V /D:MSCD001 /M:15
A:\TOOL\QS 1
CLS
A:\TOOL\SHIFTKEY 1
IF ERRORLEVEL 1 GOTO SKIP2
CHKDSK A: /F
CLS
CHKDSK B: /F
CLS
CHKDSK C: /F
CLS
CHKDSK D: /F
CLS
:SKIP2
WIN
SET EOS=A:\EO30
EOS
CLS

 ●作って楽しいBATツール

 自分のHDDはもちろん自分のものだから、自分が使いやすいようにカスタマイズするべきだ。当たり前といえば当たり前だけれど、例えば僕は必ずA:¥に次のようなバッチファイルを置いている。

VI.BAT

SET PROFILE=A:\
A:\DOS\ADDDRV A:\WIN31\PIF\VJEB31.DEV
B:\MIFES\MIFES -@ -! -$ %1 %2 %3 %4 %5
A:\DOS\DELDRV

DOSの知識は、なにも環境を整えるためだけに使うものではない。むしろ、もっと積極的に切りこなしていく方が面白い。どんどんバッチファイルを作り、“自分のために”役立てて欲しい。PATHやSETのスイッチングにも小さいバッチファイルを作り、それぞれのツールの起動用とすると便利である。

 ●おしごとって?

 連載中に職場が何回か変わった。大阪の高槻、日本橋、京都。客層もそれぞれ違って、いろいろ勉強になった。えてして、パソコンが苦手、機械が苦手だとすぐに人任せにする人は、実は機械が苦手なんじゃなくて、ただ辛抱強くないだけだということがよくわかる。昼間の仕事だけじゃ稼ぎが足りないので、アルバイトをかけもちでしていると、一体今の自分が何者なのかわからなくなるときがある。この日本でも、そのうち終身雇用が夢だと気づく人が増えるだろう。その時こそ、いかに確実な情報を早い時期に手にいれ、確実に処理して送り出せるか、それが金になることに気がつくべきだ。そして、そういう社会にもうすでに片足を突っ込んでいるのだ。僕も、あなたがたも。そのころのビジネスセンスというのは、まるで音楽的な感覚が必要かもしれない。いろんな音を指揮棒でコントロールする。その時になってはじめてパソコンの電源を入れていては駄目であることは言うまでもないが。

 ●学問ノススメ

 そう、今だ。今しかない。バックナンバーをひっくりがえして、MS-DOS面白塾を読むことを強くお勧めする。繰り返し言うが、決して簡単なものではない。修得には苦痛が伴うものである。しかし、それは今の世ではとても価値のある武器になることは間違いない。そして、この戦乱の世に打ち勝って行って欲しいと、切に望んでいる。

追追伸
-文庫本として出版されるときのための前書きとして-
 あなたがライバルに差をつけたいと考えるなら、これは必読の一冊である。一刻も早くその手でこの本をレジにもっていくことだ。この本の内容は決して立ち読みなどでは身につかない。なぜなら、予備知識の部分を除いて本編は袋綴じしてあるからだ。ざまあみろ。「この続きを読みたいなら袋綴じをナイフで切り開いてください」という赤い紙を切り開いてこそ、あなたのビジネスマンとしての能力は拡大する。それも飛躍的にだ。さあ、五百円玉を出してレジへ急ごう。もしかしたらライバルはもう読み始めているかもしれない。いや、もう読み終わってうすら笑いを浮かべているかもしれないのだ。五百円でお釣りがくるこの本で、あなたはこの90年代に、ハードディスクを活用して24時間戦うことができ、そして生き残れる! …かもよっ!(宮尾すすむ風に)

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